イマージョン教育

イマージョン教育を効果的に進めるためには、学校での学習だけでなく、家庭でのサポートも欠かせません。特に、英語に触れる機会を増やし、楽しみながら学べる環境を整えることが重要です。しかし、イマージョン教育には学費や教材費などのコストがかかるため、できるだけ負担を抑える工夫も必要になります。そこで、家庭で できるサポート方法と、費用を抑えながら効果的に学ぶためのポイントを紹介します。

イマ‐ジョン教育とは、英語教室の違い 基礎

イマージョン教育とは:英語教室との違いと基礎知識

「英語は学校で習ってきたのに、実際の会話では全く通用しない」「子どもには本当の意味でバイリンガルになってほしい」。このような悩みを抱える保護者の方も多いのではないでしょうか?従来の英語教育に限界を感じている方にとって、「イマージョン教育」が新たな選択肢として注目されています。本記事では、イマージョン教育の基礎から学習の事例まで詳しく解説していきます。

イマージョン教育とは?

イマージョン教育は、第二言語での学習を通じて、その言語を自然に習得する教育手法です。

「イマージョン(immersion)」とは「浸す」という意味で、学習する人を目標を持つ言語(多くの場合が英語)の環境に浸すことで、言語習得を促進します。

具体的には、算数、理科、社会などの一般科目を英語で学ぶことで、英語を学習の道具として使用します。これにより、言語そのものの学習ではなく、言語を通じた知識の獲得が可能となります。

今まででは、英語すらも座学で学ぶことが多かった中で、一般科目の学習と合わせて行うことで、より実践的な英語学習ができます。海外留学によって現地のスクールに通い、一般科目を学習することも同じような環境であるといえます。

今までの英語学習との比較

従来の英語教育では、英語を「学習対象」として扱い、文法規則や単語を体系的に学びます。一方、イマージョン教育では英語を「学習手段」として活用します。

例えば、英会話スクールでは「今日は動物の名前を覚えましょう」といった形で英語を学びますが、イマージョン教育では「生態系について考えてみましょう」という形で、英語を使って科学的思考を深めていきます。

イマージョン教育のメリット 

イマージョン教育のメリット

イマージョン教育の最大のメリットは、自然な形での言語習得です。国立教育政策研究所の調査によると、イマージョン教育を受けた生徒は、通常の英語教育を受けた生徒と比較して、特にリスニング力とスピーキング力において顕著な優位性を示しています。

認知能力の向上

イマージョン教育では、子どもたちは日常的に第二言語に触れながら学習を進めます。この環境により、脳は常に言語の切り替えを行うため、認知機能が活性化されます。特に、問題解決能力や論理的思考力、記憶力が向上し、柔軟な思考を持つことができるようになります。また、異なる言語のルールを理解しながら学ぶことで、注意力や集中力も高まり、学習全般において良い影響をもたらします。

異文化理解の促進

イマージョン教育では、言語だけでなく、その背景にある文化も自然と学ぶことができます。授業の中で異なる国の価値観や習慣、歴史に触れることで、異文化への興味や理解が深まります。これにより、国際的な視野を持ち、多様性を受け入れる姿勢が養われます。将来的にグローバルな社会で活躍するための重要な素養を身につけることができるのも、大きなメリットの一つです。

学習意欲の向上

イマージョン教育では、単なる言語学習ではなく、実際に英語や他の言語を使ってさまざまな教科を学ぶため、学ぶこと自体が楽しくなります。新しい言葉を使いながら知識を深めることで、学習への興味が自然と湧き、主体的に学ぶ姿勢が育まれます。さらに、日常の中で実際に言語を使う機会が増えることで、達成感を感じやすくなり、「もっと学びたい」という意欲の向上にもつながります。

イマージョン教育は、単に言語を習得するだけでなく、思考力や文化理解、学習意欲といった多面的な力を育てる効果があるため、これからのグローバル社会において非常に有益な教育法と言えるでしょう。

イマージョン教育のデメリット

イマージョン教育のデメリット

イマージョン教育は、外国語を使いながら学ぶことで高い言語習得効果が期待できる教育法ですが、一方で注意すべきデメリットもあります。特に、学習初期の負担や母語の発達への影響、そして費用の問題など、導入には慎重な検討が必要です。子どもが無理なく学べる環境を整えるためには、イマージョン教育のデメリットを理解し、適切な対策を取ることが重要です。ここでは、代表的な課題について詳しく解説します。

初期段階での学習負担

イマージョン教育では、子どもが第二言語で授業を受けるため、特に導入期には大きな負担がかかることがあります。言語の基礎がまだ確立されていない段階で、数学や理科などの教科を学ぶ必要があるため、内容の理解に時間がかかることもあります。授業中に十分に理解できず、学習への不安やストレスを感じる子どももいるため、適切なサポートが必要になります。また、初期段階では成績が伸び悩むこともあり、子どもや保護者が焦りを感じることもあります。

母語の発達への影響

幼少期にイマージョン教育を受けることで、第二言語の習得がスムーズになる一方で、母語の発達に影響が出る可能性もあります。特に、家庭での言語環境が十分でない場合や、母語での読解や表現力を養う機会が少ないと、語彙力や文章力が同世代の子どもに比べて劣ることがあります。特に、日本語の複雑な表現や漢字の習得が遅れるケースもあり、学校の国語の授業についていけなくなる可能性があるため、バランスの取れた言語環境を整えることが重要です。

コストの問題

イマージョン教育を受けられる環境は限られており、特に私立のインターナショナルスクールや特別なプログラムを提供する学校に通う場合、学費が高額になることが多いです。加えて、家庭でも英語教育を強化するために教材や塾、オンラインレッスンを利用するとなると、さらに費用がかかります。また、保護者が子どもの学習をサポートするために英語を学ぶ必要がある場合もあり、金銭面だけでなく時間的な負担も発生します。そのため、家庭の経済状況やライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で計画的に学習環境を整えることが重要です。

イマージョン教育には多くのメリットがある一方で、学習負担や母語の発達、コストといった課題も存在します。導入を検討する際には、子どもの適性や家庭の環境を考慮しながら、適切な学習サポートを行うことが求められます。

日本国内 教室

日本国内のイマージョン教育事例

日本でも、近年イマージョン教育を導入する学校が増えてきています。英語をはじめとする外国語を使いながら、算数や理科、社会などの教科を学ぶことで、実践的な言語運用能力を身につけることが目的です。公立小学校の一部やインターナショナルスクール、私立校など、さまざまな形で取り入れられており、それぞれの学校が独自のカリキュラムを展開しています。ここでは、日本国内で実施されているイマージョン教育の具体的な事例を紹介し、その特徴や成果について見ていきます。

公立校における取り組み例

公立校では、文部科学省が推進する研究開発学校制度を活用し、イマージョン教育を導入する学校が増加しています。
豊橋市の八町小学校では、市の英語教育特区認定や総合計画の方針のもと、通常の教科を英語を使って学ぶイマージョン教育が実施されています。国語と道徳以外の授業で英語を活用しながらも、理解が難しい場合には日本語を適宜併用する方針が特徴です。ネイティブ教員が学級担任を務め、校内掲示などでも英語環境を整えることで、子どもたちは状況の中で英語を使い続ける習慣を育んでいます。モデル事業の検証から得られた「英語で学んでも教科内容に支障がない」という成果を踏まえ、実技科目を含めさまざまな場面で英語を使用し、学力面でも通常学級との差が生じないよう工夫されています。日本語と英語を行き来する教育はコミュニケーション能力や国際感覚を高め、公立学校ならではの多様な児童が集う中で、お互いを理解し合う姿勢も育まれています。

参考:日本初の公立小学校におけるイマージョン教育〜豊橋市立 八町小学校の視察より〜 | バイリンガル教育の研究機関【バイリンガルサイエンス研究所】

民間スクールにおける取り組み例

各地域には、独自のイマージョンプログラムを提供する教育機関が存在します。民間のスクールでも、英語を使って一般科目に限らず、プログラミング・デザイン・音楽・ダンスなどを教えているスクールも存在します。学校が終わった後に、英語漬けの環境に子どもが身を置くことによって、スピーキング・リスニング能力ともに大きな影響があるでしょう。

スクール イマージョン教育

イマージョン教育を実施しているスクールの選び方

イマージョン教育を成功させるためには、教員の質が非常に重要です。指導する教師がネイティブスピーカーまたは高い英語力を持つバイリンガルであるかどうか、さらに、教科の専門知識をしっかりと持っているかを確認しましょう。また、子どもたちが安心して学べるよう、教育経験が豊富で、適切な指導法を持っていることも大切なポイントです。学校見学時には、授業の進め方や教師の指導スタイルをチェックし、子どもに合った環境かどうかを判断するとよいでしょう。

教員の質

イマージョン教育を成功させるためには、教員の質が非常に重要です。指導する教師がネイティブスピーカーまたは高い英語力を持つバイリンガルであるかどうか、さらに、教科の専門知識をしっかりと持っているかを確認しましょう。また、子どもたちが安心して学べるよう、教育経験が豊富で、適切な指導法を持っていることも大切なポイントです。学校見学時には、授業の進め方や教師の指導スタイルをチェックし、子どもに合った環境かどうかを判断するとよいでしょう。

カリキュラムの充実度

スクールによってイマージョン教育のカリキュラムは大きく異なります。英語を使う授業の割合や、どの教科が英語で指導されるのかを事前に確認することが大切です。例えば、すべての授業を英語で行う「フル・イマージョン型」や、一部の教科のみを英語で学ぶ「パーシャルイマージョン型」など、学習スタイルにも違いがあります。また、学年が進むにつれて英語の使用割合がどのように変化するのか、国語や他の科目とのバランスは適切か、といった点もチェックする必要があります。

施設・設備

快適な学習環境を提供するためには、スクールの施設や設備も重要な要素です。英語の授業を効果的に行うための教材やデジタルツール、図書館の蔵書の充実度などを確認しましょう。また、理科実験室やアート・ミュージックルーム、スポーツ施設など、総合的な学習ができる環境が整っているかも大切なポイントです。さらに、外国語でのコミュニケーションを促進するために、ランチタイムやアクティビティの時間に英語を使用する仕組みがあるかどうかも見ておくとよいでしょう。

イマージョン教育を実施しているスクールを選ぶ際には、教員の質、カリキュラムの充実度、施設・設備の3つの要素をしっかりと確認し、子どもにとって最適な環境を選ぶことが大切です。

家庭でのサポート

家庭でできるサポート方法と費用を抑える工夫

イマージョン教育を効果的に進めるためには、学校での学習だけでなく、家庭でのサポートも欠かせません。特に、英語に触れる機会を増やし、楽しみながら学べる環境を整えることが重要です。しかし、イマージョン教育には学費や教材費などのコストがかかるため、できるだけ負担を抑える工夫も必要になります。そこで、家庭でできるサポート方法と、費用を抑えながら効果的に学ぶためのポイントを紹介します。

 

イマージョン教育をより強化する家庭学習アイデア

家庭での英語環境づくりは、イマージョン教育の効果を最大化する重要な要素です。Netflix等のストリーミングサービスで英語音声・字幕を活用したり、英語の絵本の読み聞かせを行ったりすることで、自然な形で英語に触れる機会を増やすことができます。

奨学金・補助金の活用も視野に

文部科学省や各自治体が提供する教育支援制度を積極的に活用することで、経済的負担を軽減できます。今回の場合「イマージョン教育」専門の補助金は存在しませんが、各地域ごとの教育支援制度が適応できるスクールも存在するため、まずは対象の補助金を調べるところから始めましょう。

まとめ

イマージョン教育は、グローバル化が進む現代社会において、効果的な言語習得手法として注目を集めています。スクールを選ぶ際には子どもの年齢・適正・スクールの内容などを総合的に考慮し、慎重に判断することが重要です。また、家庭でのサポートや経済的な準備を含めた長期的な視点での計画が成功の鍵となります。イマージョン教育は実践的に英語を活用できるための一手段です。実践的な英語学習については他にも海外留学など含めて、様々な選択肢が存在するため、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら学習方法を検討しましょう。

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